01 / 今日の一番
戦争の値段が、通貨に出てきた——218日目のイラン
【事実】10月3日、イラン の通貨が最低値を更新しました。1ユーロ が初めて 300万リアル を超え、1ドル は自由市場で 約270万リアル。前の最低値は 9月2日 の 220万リアル——1か月で崩れ方が速まっています。戦争は 218日目 です。
【背景】ホルムズ海峡 の通航は、戦前のわずか 3%。オマーン 沖では4日間で6隻目 のタンカーが被弾し、IRGC 系の Fars News はタンカー2隻 が爆発したと報じました。テヘラン は 7月中旬 の封鎖より前に海上へ出ていた石油(推定 9,000万バレル)で細々と収入を得ていますが、今月半ばには尽きる見込み です。米国 は空母1隻 と 10,000人 を追加で派遣しました。
【見立て】通貨は、国の足元がどれだけ細っているかを毎日 教える数字 です。交渉の前に相手の足元を見ておくと、強い言葉に驚かなくなります。うちの現場なら、強い言葉で来た相手の「何が細っているか」を1行 書いてから返す。
"崩れる速さ"の骨格(1ドルを買うのに必要なリアル)
🗣 まわりの反応
- トランプ大統領=イラン が出した「7日間 ホルムズ海峡 を開ける」案を「受け入れられない」と拒否。11月3日 の中間選挙のあとに攻撃を再開する可能性は「あり得る」と述べ、封鎖を「軍事史上 最大の封鎖——鋼の壁だ」と表現した。交渉を持ちかけてきたのは「彼らが死にかけているから。お金が入ってこない」とも語っている
- ルビオ国務長官=ホルムズ海峡 をめぐる協議で進展があったと説明。一方で外交は行き詰まったままだとする報道も並んでおり、見立てが分かれている
- 論点:経済的な締め付けが交渉を近づけると見るか、追い詰めることでかえって遠ざけると見るかで評価が分かれる/ホルムズ海峡 を通る石油の流れ自体は戦前の水準へ戻りつつある一方、イラン 自身の石油の出荷は封鎖で強く絞られているという非対称も指摘されている
L Lの見立て
私がこの項目で学びにしているのは、「強い言葉は、手が少なくなった時に出る」 ということです。交渉が有利な側は、最大の言葉を使いません。使う必要がないから です。今朝のニュースにも、強い言葉がいくつも並んでいました。そして同じ記事の中に、通貨が1か月で崩れた数字が載っています。言葉の強さと、足元の強さは別もの。これは商売でも同じでした。大きな声で詰めてくるお客様。取引をやめると言い出す仕入れ先。辞めますと切り出す社員。若い頃は言葉の強さに言葉の強さで返して、ほぼ全部 失敗しました。言い返した瞬間、話は内容から勝ち負けに変わります。いまは 返事の前に「この人の何が細っているんだろう」と1行 書く。書いてみると、言われた内容はほとんど本題ではないと分かります。今日の20分:最近 強い言葉で来た相手を1人 思い出し、「何が細っているか」を1行 書いてから返事を考える。相手の足元が見えると、こちらの声を大きくする必要がなくなります。
発信するなら:「戦争が218日目のイランで、通貨が最低値を更新していた。1ユーロが初めて300万リアルを超えて、1ドルは約270万。前の最低値は1か月前の220万だった。同じ記事に、強い言葉がいくつも並んでいた。それで気づいた。交渉が有利な側は、最大の言葉を使わない。使う必要がないから。強い言葉が出るのは、たいてい手が少なくなった時だ。これ、商売でも同じだった。大きな声で詰めてくるお客様。やめると言い出す仕入れ先。辞めますと切り出す社員。若い頃は言葉の強さに言葉の強さで返して、ほぼ全部失敗した。言い返した瞬間、話は内容から勝ち負けに変わる。今は返事の前に『この人の何が細ってるんだろう』と1行書く。書いてみると、言われた内容はほとんど本題じゃないと分かる」
★ SNSネタIran International / Fortune / Washington Examiner / CBS News / globalsecurity.org / iransitrep
02
狙われたのは兵隊ではなく、毎日 通る橋だった
【事実】10月3日、ロシア のドローンが キーウ の 北橋 に命中しました。路面とトロリーバスへ電気を送る設備が壊れ、橋は通行止めに(ビタリ・クリチコ市長)。2人 が負傷し、1人 は一時 入院しました。ドニエプル川 を越えて オボロン と トロイェシチナ を結ぶ橋 です。
【背景】10月1〜2日 には、南橋 が4回 被弾しています。路面・橋の構造・防護・地下鉄の設備が壊れました。これを受けて キーウ の警察は、空襲警報のあいだ ドニエプル川 の橋の通行を制限すると発表——南橋 は警報中 両方向 全面通行止め です。市の交通会社はバスとトロリーバスの路線を ポジルスキー橋 へ迂回させました。この日の攻撃で、ウクライナ 全体では少なくとも6人 が死亡しています。
【見立て】狙われているのは戦う力ではなく、暮らす力 です。生活の線を切ると、人は戦わずに動きます。うちの現場なら、「止まったら全部 止まる一本道」に、二本目を書いておく。
"3日間の橋"の骨格(10月1日〜3日・キーウ)
4回 / 10月1〜2日
南橋 が被弾した回数・路面・橋の構造・防護・地下鉄の設備が壊れた
10月3日 / 北橋
ドローンが命中して2人 が負傷(1人 は一時入院)・路面とトロリーバスの設備が壊れ通行止めに
警報中は閉じる
キーウ の警察が決めた新しい運用・南橋 は空襲警報のあいだ両方向を全面通行止めにする
🗣 まわりの反応
- ビタリ・クリチコ市長(10月3日)=北橋 への攻撃で路面とトロリーバスの設備が壊れ、橋を通行止めにしたと説明。負傷は2人 で、うち1人 が一時 入院した
- キーウパストランス(市の交通会社)=いくつかのバスとトロリーバスの路線が乱れ、ポジルスキー橋 へ迂回させた。警察は空襲警報のあいだ ドニエプル川 の橋の通行を制限する運用に切り替えた
- 論点:橋を狙うのは補給路の切断と見るか、生活を止めて住民を退去させる狙いと見るかで評価が分かれる/キーウ が「警報中は閉じる」という規則を先に作ったことを、被害を減らす現実的な手当てと見る立場と、都市が二つに割られる前提を受け入れたと見る立場に分かれている
L Lの見立て
重く受け止めたのは、狙われたのが兵隊ではなく「毎日 通る道」だった ことです。橋。路面。トロリーバスへ電気を送る設備。どれも戦う力ではなく、暮らす力 です。うちの会社にも「切られたら終わる一本道」が必ずあります。私の場合は、ずっと1社だけに頼っていた運送 でした。安いし融通が利くし、長年の付き合いで言わなくても分かってくれる。その会社の車が事故で止まった日、うちの出荷が全部 止まりました。困ったのは1日 分の売上ではなく、お客様に「代わりの手がありません」と言ったこと です。あの一言で、何年ぶんかの信用が削れました。だから今は、止まったら全部 止まる所に、必ず二本目を用意しています。二本目は安くなくていい。年に一度しか使わなくていい。「ある」ことが商品 です。そして 二本目は「用意した」ではなく「一度 通してみた」までやる。紙の上の代替案は、本番で動きません。今日の20分:「止まったら全部 止まる一本道」を1つ 書き出し、二本目の名前と連絡先を同じ行に書く。そして年に一度 使う日を、今日 カレンダーに入れる。
Kyiv Independent / Kyiv Post / Bloomberg / Euronews / Washington Times / hromadske / Ukrainska Pravda
03
ディーゼルが、3週間で 93セント 上がった
【事実】米国 のディーゼルの全国平均が、1ガロン 6.53ドル になりました。連邦の週次の記録では、30年以上 で最高。3週間で 93セント、1年前から 2.78ドル(約74%)上がり、1月 の安値 3.46ドル からはほぼ倍 です。
【背景】ガソリンの全国平均も 4.4761ドル——1か月前は 4.1044ドル でした。理由は3つ 重なっています。イラン をめぐる戦闘で ホルムズ海峡 のタンカーの往来が乱れたこと、ウクライナ の攻撃で ロシア の製油所が傷んで輸出が減ったこと、そして 中東 の製油所も止まったこと。カリフォルニア州 では 8.25ドル。米国 からのディーゼルの輸出は記録的な水準 です。
【見立て】ディーゼルは運ぶ値段——つまり、ほぼ全部の商品の原価 です。見出しの大きさではなく、請求書に効くかどうかで見る。うちの現場なら、原価が動く理由を「うちの売れ方の外」から3つ 書き出す。
"3週間で 93セント"の骨格(米国 のディーゼル・全国平均)
6.53ドル
1ガロン の全国平均・連邦の週次記録では 30年以上 で最高・3週間で +93セント
+74%
1年前からの上がり幅(+2.78ドル)・1月 の安値 3.46ドル からはほぼ倍になった
4.4761ドル
ガソリンの全国平均・1か月前は 4.1044ドル・カリフォルニア州 のディーゼルは 8.25ドル
🗣 まわりの反応
- oilprice.com・wolfstreet=世界の軽油(ディーゼル)の供給が強く絞られており、記録の更新が続いている。米国 からの輸出が記録的な水準にあることも、国内の値段を押し上げる材料として挙げられている
- CNN・CBS News=ディーゼルが 1ガロン 6ドル を初めて超えたのは 9月。輸出の禁止で値段が下がるかどうかが議論になっているが、効くという見方と逆効果という見方の両方が出ている
- 論点:原因を戦闘による供給の乱れに置く見方/一方で、製油所の能力が長年 削られてきた構造の問題だと見る立場もある。ディーゼルは物流と農業と建設の燃料なので、物価全体への波及をどこまで重く見るかでも評価が分かれる
L Lの見立て
今朝の 世界 の3本 は、崩れる通貨・毎日 通る橋・3週間で 93セント でした。3本目 で持ち帰りたいのは、「注目されていない所で、うちの原価が決まっている」 ということです。見出しが大きいのは戦争の話です。でも請求書に出てくるのは、ディーゼルの 93セント のほう。私が長いあいだ損をしていたのは、ここを逆に見ていたから でした。大きなニュースだけ追って、自分の原価に効く小さな線を見ていなかった。為替。燃料。相手国の港の混み方。どれも見出しにはなりません。でも請求書には出てきます。だから月に一度だけ 「うちの原価に効く、外の出来事」を3行 書く ことにしました。世の中で大きいかどうかは関係ありません。うちの請求書に効くかどうかだけ。これをやると、値上げの連絡が来た日に驚かなくなります。驚かないだけで、交渉の言葉が変わります。「急にですか」ではなく「やはり来ましたね、どのくらいですか」。今日の20分:原価が動く理由を「うちの売れ方の外」から3つ 書き出す。見出しの大きさではなく、請求書に効くかどうかで選んでください。
oilprice.com / wolfstreet / CNN / CBS News / topspeed / shalemag / ycharts